ISP(インターネット接続サービス事業者)を主力事業に、成長を続けてきたニフティ。その屋台骨を支えてきたのが、創業当初からの会員基盤システムです。まさに会社の財産といえる一方で、老朽化したシステムによって新規サービスの立ち上げ速度が鈍るなど、長く同じ基幹システムを使い続ける弊害も生じていました。
2024年4月に立ち上がった「会員基盤刷新プロジェクト」では、この基幹システムを大きく見直し、2027年度中に抜本的なリニューアルを行うことを目指しています。ニフティのビジネスやサービスを、根本から変える可能性を秘めた一大プロジェクト。重積を担うメンバーに話を聞きました。
自己紹介
R.Aさん
2004年、新卒入社。バックエンドエンジニアとして、お客様向けログインシステムに関する開発・運用などを担当したのち、2018年からエンジニアリングマネージャー。現在は、会員基盤刷新プロジェクトのリーダーも務める。趣味は筋トレとジョギング。
S.Nさん
2007年、新卒入社。以降、一貫してバックエンドの会員基盤、認証基盤などの開発・運用業務に従事。社内のさまざまなプロジェクトに、バックエンドエンジニアとして携わる。会員基盤刷新プロジェクトではサブリーダーを担いつつ、開発、運用、他部署との調整業務などを幅広く担当。趣味は楽器演奏。トリニダード・ドバゴ共和国発の打楽器であるスティールパンのほか、オーケストラでトランペットも演奏する。
S.Sさん
2019年、新卒入社。課金キャンペーンに関する開発・運用やセキュリティなどの運用を経て、2025年から会員基盤刷新プロジェクトに参加。兄もニフティのエンジニア。趣味は音楽鑑賞。最近は推しのライブに行くこと。
ニフティのビジネスを大きく変える「会員基盤刷新プロジェクト」とは?
みなさんは2024年4月からスタートした「会員基盤刷新プロジェクト」を推進する中心メンバーということですが、はじめにプロジェクトの概要を教えてください。
@niftyの会員基盤システムは、いわばニフティ全社のビジネスを支える最重要のシステムです。この会員基盤全体を刷新し、お客様の利便性向上と新規ビジネスの早期立ち上げをはかることを目的としたプロジェクトになります。

S.Nさん
現在の@niftyの会員基盤は、ISP(インターネット接続サービス事業者)の創成期につくられたシステムです。これまで、何度も刷新を重ねてニフティの主力事業であるISP事業を支えてきた、会社の財産といえます。一方で、創業以来の老朽化したシステムであるがゆえの弊害も起こっていました。たとえば、新しいビジネスを立ち上げようとしても、「従来のシステム上にどう落とし込むのか」といった、無駄な議論が発生してしまっていたんです。そうした、ISP固有の会員基盤から脱却し、各機能のマイクロサービス化を進めようというのが、プロジェクトの最も大きな狙いですね。
ISP事業だけでなく、これから新たなサービスをどんどん生み出していくためにも、基幹システムの抜本的なリニューアルが必要だったと。

S.Nさん
そうですね。今回のプロジェクトでは「XSP」というキーワードを掲げています。このXの部分にはさまざまなサービスがあてはまり、ISP事業もそのうちの一つです。つまり、ニフティという会社は今後、ISPだけでなく多種多様なビジネスを展開していく会社になる。それを可能にする基盤をつくるのが、私たちのミッションですね。

新規サービスの立ち上げだけでなく、お客様の利便性向上の側面もあるということですが。

S.Nさん
一例を挙げると、現状はシステムの都合上、サービスごとに複数のIDを取得しなければいけないケースもあります。会員基盤を刷新してシンプルにすることで、一つのIDでニフティの全てのサービスをご利用いただくなど、お客様にとってより使いやすいものにできるのではないかと考えています。
現状のプロジェクトの進捗と、今後の展望を教えてください。

R.Aさん
2024年4月にプロジェクトがスタートし、現在まで1年をかけて各部署のマネージャーたちと議論を重ねてきました。社内のあらゆるサービスに関わるシステムですので、関係者がめちゃくちゃ多くて。さまざまな立場の人の意見を吸い上げて調整したり、開発の優先順位を決めたりする必要があったんです。現状は、ようやく計画がフィックスしたところで、2025年の4月からいよいよ開発がスタート。2027年度までに段階的にリリースをしていく予定です。

他部署と「幸せな未来」を共有し、温度感を合わせる
プロジェクトにおける、みなさんの役割を教えてください。

R.Aさん
プロジェクトリーダーとして、メンバーが動きやすい体制を整えること、また、関係者とのコミュニケーションが主な役割です。特に、各部署のマネージャー陣との調整や交渉などがメインですね。

S.Nさん
私も各部署との調整を行いますが、上長レベルのコミュニケーションはR.Aさんにお任せして、私の方では現場レベルでの細かい設計などについての調整を担当しています。他には、開発運用、コーディングまで、本当に何でもやるような感じですね。

S.Sさん
私も同じく何でも屋です。設計、運用をはじめ、システムの構築にまつわる全てを担当しています。
S.Sさんは3人のなかで最も若手ですが、会社として最重要ともいえるプロジェクトを手がけることを、どのように捉えていますか?

S.Sさん
今後のニフティのビジネスを支えるシステムとして、長く使われていくものになるので、もちろんプレッシャーはあります。設計ひとつとっても高い品質を求められていますし、私自身もさらに成長しなければいけないなと。
特に難しさを感じているのは、他部署からの要望やお客様のニーズなど、さまざまな要素に対応する必要があること。私の場合はチームにアサインされて日が浅いこともあり、現状のシステムにおける課題感を掴みきれていないところもありました。ただ、当初から週に1度の頻度で他部署の方々とミーティングを重ねてきて、徐々に解像度が上がってきましたし、要求をまとめる力も身についてきたと思います。

R.Aさん、S.Nさんは、自身の役割のなかで難しさを感じる部分はありますか?

R.Aさん
私の場合は、周囲とのコミュニケーションですね。特に、このプロジェクトは他部署のメンバーにも実際に手を動かしてもらうことが必須で、協力を仰ぐためにはプロジェクトの意義や目的を理解してもらう必要がありました。
当初は関係者を集めてディスカッションをしようにも、なかなかうまくいかないところもありましたね。積極的に意見を出してもらえなかったり、堂々めぐりの議論になってしまったりと、関係者が多いゆえに思うように進まないストレスを感じていました。ただ、半年前ほど前からコミュニケーションや会議の進め方を見直して、徐々に議論が噛み合うようになっていったと思います。

S.Nさん
他部署にどこまでお願いしていいのか、そのバランスは難しいですね。やはり、これをやることで「どれだけ幸せな未来が待っているか」を、丁寧に伝えて温度感を合わせていく必要があると思います。
また、このプロジェクトは2027年度いっぱいかかる想定なので、「その間、他の開発ができなくなるんじゃないか」という懸念の声は多く挙がっています。私自身もプロジェクトのメンバーであると同時に、会員管理システムの開発・運用も担う立場ですので、そうした不安もよく分かる。システムの刷新と、その間の新規の開発をいかに両立していくかという点は大きな課題の一つですね。

チームは新たな仲間を募集中。望むメンバー像は?
プレッシャーも大きく難易度も高いミッションですが、そのぶん、やりがいも感じられそうです。

S.Nさん
個人的にはプレッシャーよりも、このプロジェクトに携われる喜びやワクワクのほうが大きいです。@niftyにはすでに500万人を超える会員様がいらっしゃいますが、会員基盤システムを構築して新しいサービスがどんどん誕生することで、お客様もさらに増えるはず。そう考えると、とてもやりがいの大きい仕事だなと。
これから実装に向けてプロジェクトが本格化しますが、現状の課題を教えてください。

R.Aさん
一つはチーム体制の強化です。2025年4月から、もう一つチームをつくり人も補充していく予定です。社内でもメンバーを公募していますし、本プロジェクト向けのシステムエンジニアの求人も行っています。
どんなメンバーを迎えたいですか?

R.Aさん
まずスキルの面でいうと、設計から入る作業が多いので、コーディングだけをバリバリやってきた人よりは、上流工程の基本設計の経験をお持ちの方を求めています。性格の面では、ありきたりですが「この人と働いてみたい」と思えるような人間性を備えた方。僕だけの判断ではなくメンバーにも面談に入ってもらい、一緒に働く仲間を選んでほしいと考えています。

S.Nさん
僕は、日頃からアーキテクチャに対して「妄想」を膨らませている方に来てほしいです。こうした基幹系のシステムは、エンジニアからすると「もっと、こういうふうになっていたらいいのに」と思うことが多々あると思うんです。そこで「自分ならこうつくる」といった具合に思いをめぐらせている方がチームに入ってくれると、より議論が深まり、良いものができると思います。
性格面でいうと、積極的に動いてくれる人ですね。このプロジェクトは特に、上から言われたことをやるのではなく、自分たちでやるべきことをつくり出すという側面が強い。論理的思考に基づき、積極的にアクションを起こせる人が来てくれると、本当にありがたいです。

後編に続きます!
今回はニフティの会員基盤刷新プロジェクトチームのインタビューの様子をお届けしました。続きは後編の記事をご覧ください。
R.Aさん