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気になっていたFSLogixを触ってみた

はじめに

はじめまして。ニフティでインフラエンジニアをしている横山です。
自身が担当しているシステムの一部にVDI環境があり移動ユーザープロファイルの機能を利用しているのですが業務効率の低下につながる課題を抱えております。そんな中、課題解決につながりそうなソリューションとしてFSLogixに興味を持ちまして実際に利用してみました。

用語について

VDIとは?

仮想デスクトップ(Virtual Desktop Infrastructure)を指します。ユーザーが利用するPC端末のデスクトップ環境をサーバ上で一元管理する仕組みを指します。従来の環境と比べてセキュリティ対策やコスト削減などのメリットがあります。




ユーザプロファイルとは?

ユーザ個人のファイルや設定などが保存されたもので、下記の例ではWindowsクライアントへアクセスした際にYokoyamaというユーザでアクセスすると、Yokoyamaフォルダをユーザプロファイルとして利用することができます。このフォルダ群をユーザプロファイルと呼んでいます。




移動ユーザープロファイルとは?

複数のコンピューター間でユーザの設定やカスタマイズ、個人データを移動させるための機能です。VDI環境では仮想マシン上でユーザーの仮想デスクトップが実行されますが、ユーザが異なるコンピューターで作業する際に一貫性のある環境と個人設定を提供するためこの機能を用います。一般的にフォルダリダイレクトと組み合わせて使うことが多いかと思います。



抱えている課題

移動ユーザープロファイルは端末へログインする際、ファイルサーバに格納されているユーザプロファイルを端末にダウンロードしますが、ダウンロードが完全に終わるまでログインが完了することはありません。そのため大多数のユーザが同タイミングで一斉にログインしたり、ファイルサーバ側にサイズの大きなファイル等がある場合にサーバへの負荷が集中してしまい、VDI端末を利用するまでにユーザーはかなり待たさせることになります。




こうしたI/O集中などのサーバへの負荷によりログインストームと呼ばれる状態が起きることがあり、業務のレスポンス低下を招いていました。何か手立てはないか考えていたところFSLogixというソリューションがあることを知りました。

FSLogixについて

FSLogixは仮想デスクトップ環境や仮想アプリケーション環境において、ユーザのプロファイルデータとアプリケーションデータを効率的に管理するためのソフトウェアです。今回はFSLogixの提供している機能の一つであるプロファイルコンテナについて触れていきます。

プロファイルコンテナはユーザプロファイルをコンテナ化しマウントする仕組みになります。コンテナ化されたファイル(VHDX)はファイルサーバ等のストレージへ保存することができ、ユーザのログイン時においては該当するVHDXファイルをマウントして利用する形になります。


※コンテナ化 = アプリケーションやサービスを実行するための環境をパッケージ化したものです。

ファイルサーバから端末に対してファイルのダウンロードを行う移動ユーザプロファイルに対して、ユーザプロファイルを直接マウントするFSLogixでは後者のほうがかなりの速度向上を見込めるのではないかということで実際に検証してみることにしました。

検証内容

FSLogix(Profile Container)利用と従来の移動ユーザープロファイル利用時のパターンにおいて、ログイン/ログオフの速度やアクセス先のファイルサーバへの負荷等を検証してみます。

検証環境

役割OSスペック(CPU / メモリ / ディスク)台数
VDI端末Windows104CPU / 16GB / 80GB10
ファイルサーバWindows Server 20222CPU / 4GB / 80GB1
Active DirectoryWindows Server 20222CPU / 4GB / 80GB1

検証方法

  • ActiveDirectory上に移動プロファイルを利用/FSLogixを利用するための接続するためのユーザをそれぞれ10アカウントずつ作成する。
  • 各アカウントのプロファイルデータには5GB程度のダミーファイルをあらかじめ配置する。
  • それぞれのパターンの10アカウントで同じタイミングでのVDIクライアント接続を行う。

検証結果

検証パターンログイン/ログオフサーバ負荷状況
FSLogix(プロファイルコンテナ)4秒前後/3秒前後CPU:3%上昇
メモリ:2~3%上昇
移動ユーザプロファイル10秒前後/3秒前後CPU:5%上昇
メモリ:5%程度上昇

ファイルサーバへの負荷はそこまで変わらなかったものの、FSLogixを利用することでクライアントへのログイン速度が格段に速くなりました。上述した課題の解決するための手段としてとても実用性を感じる結果になったかと思います。

所感

検証を踏まえて、FSLogixはインストールや設定についても簡単で導入の敷居はとても低いのではないかと感じました。また、今回細かな設定までは触れませんでしたがプロファイルコンテナの設定で1ユーザあたりが作成できるファイルサイズに制限をかけたり、ユーザープロファイルの格納先を複数指定することが設定一つで行える為、管理者にとってもシンプルで扱いやすいように思えました。今後も提供機能や詳細設定について利用者だけではなく管理者の運用が今以上に楽になるようなものがないかを引き続き調べていきたいと思います。

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