はじめに
この記事は、ニフティグループ Advent Calendar 2022 1日目の記事です。
急に冷え込んだと思ったら、なんともう12月です!年末になると1年を振り返りたくなりますね。
スクラムでは、一定期間(スプリント)ごとにふりかえりを行うことをレトロスペクティブと呼びます。
このレトロスペクティブですが、私たちのチームでは、メンバーが交代でファシリテートをし、毎回いろいろなやり方を試してきました。
以前レトロスペクティブのおすすめを何点か紹介した記事をかきましたが、
レトロスペクティブのおすすめアクティビティ
今回はいろいろなケース別に、良かったふりかえり手法を紹介していきたいと思います。
リモートでも話しやすい場づくり
リモートワークも増え、オンラインだとミーティングが盛り上がりにくい、ファシリテーターや一部の人ばかりが話してしまうという話をよく聞きます。
ながら作業で聞いている人や、ゲスト気分で参加している人に、このふりかえりの場に意識を向けてもらうための取り組みをしましょう。
一言だけ話す
最近買ったものは何?とか、無人島に持って行くなら?とか、そういった気軽な質問をします。
アイスブレイクとして一人だけでしゃべってしまう人もいますが、できる限り全員になにか答えてもらうことがお勧めです。
こういったアクションはメンバーが打ち解けることを目的とされやすいですが、実際、MTGの数分で打ち解けることはなかなか難しいです。(何回もアイスブレイクや雑談を積み重ねて打ち解けていくものかと思います)
ふりかえりの始まりとしては「なんでもいいから本題に入る前に声出しをしてもらえればOK」くらいの気持ちで取り組んでみましょう。なんなら、あいさつだけでもかまいません。
簡単に体を動かす
参加人数が多い時や、あまり雑談が浮かばないときは体を動かすこともお勧めです。
「みなさんカメラをONにしてください。椅子から立ち上がって、大きく伸びをしましょう」
と言うだけでOKです。
一度作業から離れて、このふりかえりの場に意識を向けてもらえればじゅうぶんに「場がつくれた」と言えると思います。
十分に打ち解けて親しいメンバーばかりだとしても、一度この場に意識を向けてもらうという意味で、なにか話すなり体を動かすなりということから始めることをおすすめします。
さまざまなふりかえり手法
いくつかのふりかえりアクティビティを、40-50分ほどで収まるようなやり方になるよう紹介しています。
チームメンバーを知る
ふりかえりというよりは1時間かけられるアイスブレイク手法となります。
価値観ポーカー
詳しいルールは上記サイトをご確認ください。
メンバーがどんな価値観を大事にしているかがわかります。
手持ちの価値観で、優先度が高くない価値観カードをどんどん捨てて行く必要があるので
やたらインパクトのある絵面になり、盛り上がりやすいです。
できたばかりのチームではもちろん、もう長く過ごしているメンバーでも、こういうタイプだと思っていたことと、本人が大切にしてる価値観にどれだけギャップがあるかを埋めることができます。
地元トーク
過去に住んでいたところ周辺のおすすめポイントや、自分がそこで当時どう過ごしていたかをGoogle mapのストリートビューをつかって持ち回りで紹介していきます。
地方特有のチェーン店や、気になる不思議な建物、ここの桜が綺麗など、がんばって話を振らなくても話題が尽きにくいです。
自分の過去について話すことは、相手に対して自己開示をしやすくするひとつの足がかりになると思います。
チームの状態を客観視する
アジャイルの車輪
SCRUMMASTER THE BOOKのエクササイズを参考にしています。
書籍では「個人個人がどのくらいアジャイルに適応できているか」という検査や他者との比較を目的として行うことになっていましたが、今回レトロスペクティブに取り入れるにあたって 「チームがどのような状態にあるか確認する」 と言う目的にし、みんなで話し合いながら書いてみるというスタイルでやってみました。
上の図では、青色が現在、黄色が半年後になっていたい姿です。 特に意識的にやっていきたい項目に丸をつけています。
ポイント
- グラフの目盛り表現にはそこまで厳密さを求めない。今(または半年後)どの状態にあるかを話し合うことが、このアクティビティの主題。
- すべての項目を半年後に伸ばす必要があるわけではない。半年では伸ばせない項目が何かを知ることも大事
- あまり何回もするふりかえりではなく、半年ごとに1回するくらいでOK
熱気球
気球を自分達のチームとみなして、
- 気球(チーム)にとって上昇気流・追い風になったこと
- 気球(チーム)にとって荷物・足を引っ張る要因だったこと
- 気球(チーム)にとって、将来的に嵐・混乱させる要因になりえること
を書いていきます。上昇気流と荷物は現在の状況を示し、嵐は将来の予測を示します。
ポイント
- なにか大きめのリリースに向かっている「途中」に行うと良い
- 「嵐」を避けて晴れた日に向かうために、できることはなにかを考える
- 「荷物」が重すぎて動けなくなった時にどう対応するかも考える
- 人ではなく物事にフォーカスして振り返る
- ×私の作業が遅くて、みんなの足を引っ張ってしまった
- ○不慣れなタスクに時間がかかってしまった
ふりかえり手法を毎回変えるとチームはどうなるか
いくつかふりかえり手法を紹介しましたが「なぜ毎回レトロスペクティブの方法を変えるのか」と聞かれることがあります。
マンネリ防止という観点もありますが、さまざまな視点で振り返るほうがチームの成長につながると思います。
レトロスペクティブはチームの定期検診だと考えています。
定期検診で体重だけを測り続けたとしたら、気づける病気はかなり限られてしまいますよね。
それと同じように、チームの長所や問題も、同じふりかえり方=同じアングルから見ていても限られた情報しか得ることができません。誰しも考え方や視点にはクセがでてしまうものです。
自分の感情にフォーカスしてみる、他人の不安にフォーカスしてみる、チームを客観視してみるというように、あらゆる角度からふりかえって行くことで、チームの本当に良いところや、根深い問題が見つけやすくなります。
また、物事をよりよくするためには、各自が自主的に工夫を凝らすことも必要です。
私たちのチームではスクラムイベントのファシリテーターを持ち回りにしています。
レトロスペクティブは前回と同じふりかえり手法にはしない、と決めておくと「今回のふりかえりはどんな手法がいいかな」「このふりかえりはチームに合いそうだな」というように、各々がいまのチームの状態を見つめるきっかけにもなります。
チームの関係性をよりよくしていったり、問題を早く解決するためには、今までにやっていなかったなにかをしたほうがいいケースが多いです。慣れ親しんだ対処方法を繰り返しても、一定ラインから成長は鈍化します。
ふりかえり手法を毎回変えたときのメリット・デメリット
メリット
- チームの問題が大きくなる前に早くみつけやすい
- チームの成長をずっと続けることができる
- 飽きない
デメリット
- あまりうまくいかないふりかえりが発生することもある
- 準備に少し時間がかかる
ふりかえり手法を変えない時のメリット・デメリット
メリット
- 準備の時間が短い
- 慣れ親しんだ方法なので戸惑わない
デメリット
- マンネリ化しやすい
- 観点に偏りが出てしまって、新たな問題に気づきにくい
- 一定ライン以上は成長できない
チームの問題に早期に気づき成長を加速するためにも、いろいろなふりかえり手法を試してみることは効果的な取り組みだと思います。
レトロスペクティブという定期検診を多角的に行って、チームの健康と成長を保ち続けましょう。
明日は、tatsuya-miyamotoさんのニフティトップページの運用メンバーで障害対応ロールプレイングをやってみたよ!です。
お楽しみに!