初めに
こんにちは、インフラシステムグループの佐藤です。
皆様は問い合わせ窓口に電話をした際、オペレーターとのやり取りが長引きイライラする、といった経験はないでしょうか?
今回、受電時間を削減するために電話認証番号という仕組みを導入しましたので紹介します。
電話認証番号とは?
こちらで告知されています↓
会員サポート >「電話認証番号」による本人確認運用を開始 : @nifty
簡単に要約すると、
本人確認をIVR(自動音声応答システム)上で行うことで通話時間やオペレーターに繋がるまでの待ち時間を削減しよう
という取り組みです。本人確認には事前に登録した4桁の番号を利用します。
既存の本人確認方法
氏名や生年月日、電話番号などを電話口でヒアリングして確認しています。
本人確認後、お客様情報を確認するWEBシステムから契約情報などを閲覧することで問い合わせの対応を行っていました。
IVR上での必要なフロー
IVRに電話認証番号用のフローを作成、追加します。
必要なフローは下図の通りです。
電話認証番号の仕組みを導入しても、即座に全てのお客様が利用するわけではありません。
そのため、まずは電話認証番号を持っているか否かで分岐します。
持っていない場合は既存のIVRに復帰します。
持っている場合はそのまま自身の電話認証番号を入力し、認証を行います。
認証では下記のようなSQLを実行します。
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SELECT [@niftyID] FROM [テーブル名] WHERE [登録されている電話認証番号] = '[入力した電話認証番号]' [登録されている電話番号] = '[架電している電話番号]' GROUP BY [@niftyID] |
@nifty IDが返ってくれば認証成功です。
認証に成功した旨のアナウンスを流し、@nifty ID情報を保持します。
認証に失敗した場合、もしくは一定時間電話認証番号を入力しなかった場合は認証に失敗した旨のアナウンスを流します。
その後、成功失敗ともに既存のIVRに復帰します。
オペレーター視点での挙動の違い
IVRの終端ではアナウンス後切断するか、オペレーターに繋がります。
オペレーターに繋がった時、CTI連携を行います。
CTI連携とは電話とコンピュータを連携させることで、ニフティの場合はお客様情報を確認するWEBシステムページが起動します。
オペレーターはCTI連携後に電話口で本人確認を行い、お客様情報を検索して契約情報などを確認していました。
電話認証に成功した場合は、本人確認が取れた状態であるため、CTI連携時に@nifty IDのURLパラメータを追加した状態で起動します。
すると@nifty IDに紐づいた情報が表示されるため、オペレーターは初めからお客様の契約情報などを確認することが可能になります。
上図は実際に開くURLの例です。
右側のマスクされた部分に@nifty IDが入ります。
コールフローを作成する
前項までで電話認証番号を実現するために、電話システム上で必要な機能についてまとめました。
ここからは実際にコールフローを作成していきます。
コールフローとは、お客様からの入電を適切に振り分ける流れのことです。
ニフティではコンタクトセンターサービスとして、NTTコミュニケーションズのArcstar Contact Centerを利用しています。
ストラテジを作成する
まずは、ストラテジという動作の骨組みにあたる部分を作成します。
下図は先ほどのフロー図での、[電話認証番号_認証]に該当するストラテジ例です。
ストラテジはウィザードというアイコンが結びついて構成されています。
内、下記の中央部分に絞って簡単に解説します。
まず、左のデータベースアイコンの部分でDBに接続、SQLを実行します。
実行に成功した場合は右の緑色、失敗した場合は下の赤色に分岐します。
緑色に進んだ場合は、クリップマークのアイコンにてSQLの実行結果を変数に格納しています。
格納したのち、矢印がクロスしているアイコンで変数を元に分岐させます。
分岐先のFアイコンでは、このストラテジが終了したとき、次に遷移する先を記載します。
上のFアイコンでは認証成功時の遷移先に、下のFアイコンでは認証失敗時の遷移先が指定されています。
値の定義
先ほどFアイコンで遷移先を指定している、と言いましたが、ストラテジはあくまで骨組みなので直接遷移先を記載してはいません。
今回の例では上のFアイコンは遷移先1、下のFアイコンは遷移先2を見に行く、といった形で記載されています。
そのため、実際の遷移先をリストにして定義する必要があります。
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[〇〇窓口用の電話認証番号] 遷移先1=XXX 遷移先2=YYY [××窓口用の電話認証番号] 遷移先1=aaa 遷移先2=bbb |
その他にもアナウンス用の音声ファイルなど、固有のパラメータは同様に定義する必要があります。
利用時の流れ
全てのストラテジを作成、値を定義すれば電話認証番号用フローの完成です。
コールフローに電話認証番号用フローを追加すればそのコールフロー内で電話認証番号が使えるようになります。
電話認証番号を実際に利用する場合は、下記3ステップで行えます。
- 自身の@nifty IDに電話番号、電話認証番号を登録する
本人確認用の電話認証番号を登録したい Q&A(よくあるご質問) - 登録した電話番号から架電し、電話認証番号を入力する
- オペレーターに繋がった際、電話認証が成功していれば自動的に本人確認が終了している
効果
現在スタートしたばかりのため効果は測定中ですが、一月当たり40万ほどのコスト削減を見込んでいます。
さいごに
今回は電話での受電時間を削減するための取り組みについて紹介しました。
ニフティに問い合わせの電話をかける際は、電話認証番号を登録してみてはいかがでしょうか?