システム開発に携わっていれば、多くの方が大なり小なり障害に遭遇しているかと思います。
私も長年開発・運用業務をやっており、システム障害や運用ミスなど、いろんな障害に携わってきました。自分が起こしたり、巻き込まれたりなどなど。
その中から最近発生した、そんなところに原因が・・と思ったもののお話しをします。
障害の概要
ある日お客様への通知物関連の処理にて、お客様の元へ届かないという障害が発生しました。原因となった該当の処理自体は単純なもので、ファイルをリネームして移動するだけのものでバグが入り込む余地がないほどの処理です。
登場するサーバは下記の2台。
- サーバA:ファイルをリネーム・移動する処理が実行されるサーバ
- 0:30にcron実行される
- サーバB:移動後のファイルを使用する後続処理が動くサーバ
- 1:30にcron実行される
- オマケ情報
- サーバAとサーバBは同じNASをマウントしている
ここからカウントダウンが開始されたのでした。
移動されたファイルのタイムスタンプが今までは0:30だったのが、最終的にリミットの1:30を越えて後続処理に間に合わなくなり、障害の発生。
先に記述したとおり、ファイルをリネーム・移動するだけの処理がなぜこんなに時間がかかるのかまったく理由がわかりませんでした。
調べてみる
まずは、サーバAで遅れていった処理のログを見てみました。単純な処理過ぎて使えるログはほぼ出力しておらずまったく役に立ちません。参考になったのは、ログのタイムスタンプで、0:30となっていたことで、処理自体は時間通りに開始しているらしい点。 移動先のファイルのタイムスタンプを確認してみると、やっぱり開始時間とはかなりかけ離れていることがわかりました。
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-rw-r--r-- 1 user1 group1 0 2月 27 01:29 2023 file_20230227.txt -rw-r--r-- 1 user1 group1 0 2月 28 01:29 2023 file_20230228.txt -rw-r--r-- 1 user1 group1 28 3月 1 01:30 2023 file_20230301.txt -rw-r--r-- 1 user1 group1 28 3月 2 01:30 2023 file_20230302.txt -rw-r--r-- 1 user1 group1 84 3月 3 01:30 2023 file_20230303.txt -rw-r--r-- 1 user1 group1 84 3月 4 01:30 2023 file_20230304.txt -rw-r--r-- 1 user1 group1 28 3月 5 01:30 2023 file_20230305.txt -rw-r--r-- 1 user1 group1 0 3月 6 01:31 2023 file_20230306.txt ←この日から障害 -rw-r--r-- 1 user1 group1 0 3月 7 01:31 2023 file_20230307.txt -rw-r--r-- 1 user1 group1 28 3月 8 01:31 2023 file_20230308.txt |
ファイルサイズは0~100byte前後がほとんどで普通に考えれば一瞬で終わります。
そしてさらに謎なことに、10日程度でこれがおさまったことです。
ちなみに3月15、16日はなにもしていません。
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-rw-r--r-- 1 user1 group1 28 3月 14 01:32 2023 file_20230314.txt -rw-r--r-- 1 user1 group1 56 3月 15 01:33 2023 file_20230315.txt -rw-r--r-- 1 user1 group1 28 3月 16 00:30 2023 file_20230316.txt ←0:30に戻る -rw-r--r-- 1 user1 group1 84 3月 17 00:30 2023 file_20230317.txt -rw-r--r-- 1 user1 group1 56 3月 18 00:30 2023 file_20230318.txt -rw-r--r-- 1 user1 group1 56 3月 19 00:30 2023 file_20230319.txt -rw-r--r-- 1 user1 group1 28 3月 20 00:31 2023 file_20230320.txt ←また遅れ始めた -rw-r--r-- 1 user1 group1 252 3月 21 00:31 2023 file_20230321.txt |
調査に行き詰まり、チームでの障害共有のときに何かとっかかりになるような観点ないか相談をしてみました。
解決
結果からいうと、処理に時間がかかっていたわけではなく、サーバAの時計が遅れていました。約1年前から少しずつ時計が遅れていき、後続処理までの1時間を超えてしまったというオチでした。
相談したときにNTPでは?と言われ、確認してみたら
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# vmware-toolbox-cmd timesync status Disable |
そのときのファイルのタイムスタンプと実際の時刻のズレもほぼ同じでしたので、これかと。
なるほど、サーバAではズレている時刻どおり0:30に実行し終わっているので、ログのタイムスタンプは0:30になり、サーバBから見たらファイルは遅れて置かれた時間がタイムスタンプになるわけです。
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# vmware-toolbox-cmd timesync enable |
他にも時刻同期が無効になっているサーバがないか確認したら数台見つかりました。
しかし、数分のズレで済んでおり、ここまで遅れていったのはサーバAのみでした。なぜこいつだけ・・
それなりに古いシステムで、構築時を思い返しても時刻同期をどうするみたいな細かいところまで手順にはなかった気がします。
約1年前なにがトリガーになって時計遅れ始めたのか、何もしてないのに正しい時刻になおったことなど気になる点はまだありますが、syslog見ても影響していそうなのもなく謎は残りますが、この件は一旦これで終わり。
障害原因の調査をするときは、該当システムばかり調査しがちになりますが、今回のように他のところに問題があることもあるのだなと。
今後の教訓として、迷ったら少しそっちに目を向けた調査も考慮しようと思った一件でした。
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