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AWS様にWorking Backwardsワークショップを開催してもらいました!

エンジニアリングマネージャーをしています芦川です。

2025年01月22日にAWS様にWorking Backwardsワークショップを開催してもらう機会があり、社内からオフラインで15名参加しました。また、その後の内容のおさらいイベントを社内で実施し、30名の参加があり、社内でもかなり反響があったと思います。今回、その内容を公開します!

※AWS様提供の資料は非公開のため説明はテキストのみになります。

結論

結論から先に言ってしまいますが参加してよかった!!につきます。企業が提供するサービスは誰のためなのか?という再認識とそこを突き詰めるとこういう方法論に行き着き、知っておいて損は絶対にない! という話でした。

Working Backwardsとは?

Working Backwardsとは、Amazonが全てのサービス企画において実践している手法です。最大の特徴は、「お客様体験」を最優先に考え、そこから逆算してサービスを作り上げていく点にあります。「お客様体験がどう変わるのか?」がサービス企画時の重要なポイントです。

Amazon GOの事例

この手法を理解する上で、Amazon GOの誕生プロセスは非常に示唆に富んでいました。きっかけは「シアトルで働く社員のランチ時間にスーパーが非常に混雑してしまう」という課題でした。この解決策として出てきたのが「レジをなくして待つ必要をなくす」というアイデアです。レジをなくす=無人化というと、人的コストの削減目標が最初にあったのでは?のように考えてしまいますが、そうではなく、あくまで課題解決をするためにお客様の体験をどう変えたか? ということでした。(実際に完全無人化はしておらず人間による運用も行われているそうです。)

イノベーションを支える行動指針

AmazonではOur Leadership Principles (OLP)という行動指針に則って行動しており、このOLPがイノベーションの基盤にもなっています。
OLPは2025/1時点で全部で16ありますが、このセッションでは時間の関係で特に以下の3点について紹介してもらいました。

  • Customer Obsession
  • Think Big
  • Bias for Action

この行動指針を使って、サービスを考えていきます。特に大事なのは、Customer Obsessionであり、お客様を何よりも中心に考える、ということになります。また、Bias for Actionでは、意思決定スピードを上げるためには完璧な企画をするのでなく、やり直すことができるのであれば、過剰な調査や検討を避けよ、というところが私は個人的に好きなところです。

実践方法:プレスリリース駆動の企画開発

まず、お客様が誰で、どのようにお客様体験を変えたらいいのか?ということを以下の5つの質問に応えることでアイデア出ししていきます。

  • お客様は誰ですか? お客様についてどんな気づきがありますか?
    • ペルソナ設定
  • お客様の課題や新しい可能性は何ですか?
    • 問題の設定
  • 解決策と、お客様にとって最も重要なメリットは何ですか?
    • 解決策(複数書いてよい)
  • 課題が解決した、新しいお客様体験はどのようなものですか?
    • どうお客様体験が変わったか?(複数書いてよい)
  • どのようにお客様と検証し、何を成功指標としますか?
    • KPI

そして、ざくっとでもやりたいことが定まったら、この回答を元にAmazonでは、新しいサービスや機能の企画において、以下の3つのドキュメントを作成します。

  • プレスリリース:1-2ページで、お客様にとっての価値を簡潔に説明
  • FAQ:想定される質問と回答を20-30ページ程度で詳細に記述
  • ビジュアル:具体的なお客様体験をストーリーボードで表現

特筆すべきは、プレスリリース形式を採用している理由です。ここは今回のワークショップで目からウロコの点でした。

プレスリリースとは、そもそもの用途においてお客様が初めてそのサービスを知る入口となる文章です。何がどう変わるかをシンプルな文章でお客様体験の変化を表現する必要があります。社内のアイデアから企画する時点でそのフォーマットを使って書くということは、お客様体験がどうよくなるのかを最初から簡潔な文章で表現することになります。周囲のレビューを通してブラッシュアップしていくことで、お客様の何がどうよくなるのか、ということがさらに明確になっていきます。何十往復もレビューを繰り返すとのことでした。

で、さらに聞けて良かったと思ったところが以下でした。

  • テキストベースなので、プレゼンが必要なく、非同期で誰でもレビューできる。
  • 企画が個人のプレゼンスキルに依存せず、アイデアを平等に評価できる。
  • プレゼン資料(pptなど)を作る時間が不要になる。

なんと合理的に企画を洗練するのか! 流石だなあ、と思いました。

今回は体験版ということで、プレスリリースのワークしかなかったのですが、FAQ、ビジュアル作成のところもどこかで学んでみたいと思います。

ワークショップから得られた気づき

今回、参加者からは以下のような具体的な気づきの声が聞かれました。

  • 「企画書をプレゼンではなく、プレスリリース形式で書くことで、お客様が実際にサービスを知る形に近づけられる点が画期的だった」
  • 「各項目を3-4分という短い時間で区切って考えることで、逆に悩みすぎず、スピーディーにアイデアを出せた」
  • 「黙読形式でのレビューは、プレゼンスキルに依存せず、純粋にアイデアの価値を評価できる点が新鮮だった」
  • 「お客様のペルソナから課題、解決策という流れで考えることで、より具体的なサービス価値を描きやすかった」
  • 「普段は実現可能性や運用面を先に考えてしまいがちだが、まずはお客様価値だけに集中して考えることの大切さを実感した」

特に印象的だったのは、多くの参加者が「プレスリリース形式」という手法の効果を実感していた点です。これは単なるドキュメントのフォーマットではなく、お客様視点でサービスを考えるための思考の枠組みとして機能していることが分かりました。

今後への活かし方

このワークショップで学んだ手法は、新規サービスの企画だけでなく、既存サービスの改善や、社内ツールの開発にも応用可能だと思います。

重要なのは、やはり常にお客様体験を起点に考え、その価値をシンプルに表現できるかどうかです。

今回、Working Backwardsの実践を通じて、私たちは「お客様にとって本当に価値のあるもの」を作り出すプロセスを学びました。この学びを活かし、より良いサービス開発に取り組んでいきたいと思います!いや、すばらしい。AWS様、ありがとうございました。

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