この記事は、ニフティグループ Advent Calendar 2022 (カレンダー1) 25日目の記事です。
こんにちは、ニフティでAWS/GCPや開発寄りのSaaS管理などしている石川です。
年末ですね、大掃除のシーズンです。
オフィスやキャビネットの掃除はしてても社内情報の掃除はみなさんしているでしょうか。
本日はNotion様の事例紹介として載せさせていただいた内容の詳細版として、ConfluenceをNotionに移行する前に行った大掃除とNotion上での情報の配置の話をしようと思います。
本記事の以下の流れで説明していきます。
- 削除と取捨選択
- 分類分け
- 再配置
Confluence Serverの大掃除
まずは移行前に身軽にしておきたいので大掃除から、と言っても棚卸し作業が主です。
- 重複添付ファイルの削除
- 移行対象の取捨選択
- ほぼ空のスペースの削除や集約
重複添付ファイルの削除
Confluence Serverはページコピーの際に添付ファイルも複製されます。定例ページなどコピーして新規ページを作っていると雪だるま式に添付ファイルが増えていってしまいます。これが大量にあるので一番古いファイル以外を消します。
(Confluence豆知識:2016年からページコピーで添付ファイルが複製されるようになり、2019年に複製しないオプションが追加されましたがデフォルトでは複製します。Cloud版も同様の仕様ですが、複製しないオプションはCloud版にはないため必ず複製されます)
削除方法ですがSQLで抽出してAPIで消すだけです(かなり時間はかかります)
- SQLで同一スペース内にあるファイル名&サイズ&バージョンが同じものが n個以上あるファイルを抽出
- APIを叩いて消していく
直近で行った結果だと、全体の15%ほどが重複ファイルでした。2020年に初めて行ったときは 50%近くが重複ファイルだった ので、これでも重複数は減った状態です
移行対象の取捨選択
移行先にゴミを持ち込まないために重要なステップです。
今回はヒアリングシート作って移行先(4択)を入力してもらう形で行いました。
デフォルト値が空だとどうしても「使うかわからないけどとりあえず移行するか」と考える方が多い ので、各スペースの利用統計から推奨値を入れておくのはやっておいたほうがいいです。また明らかに情報が少ないスペース(議事録だけ数ページだけある)は、全社共通議事録DBを移行先にする対応を行うとより良いですね。
- 例:長年更新がない、アーカイブスペースになっている → デフォルト
移行しない
- 例:数年更新がない、近年アーカイブスペースになった → デフォルト
エクスポート
移行先問わず使える知見がAtlassianから提供されているので一度目を通してみるといいと思います。
参考:Confluence のベストプラクティス | アトラシアン | Atlassian
参考:ACE#43 Atlassian Cloudへの道のり – YouTube
情報の分類分け
次に移行前にやっておきたいのは情報の分類分けです。
Confluenceのスペースを維持した情報管理
Confluenceから移行した関係上、スペースという概念を保持しておく必要がありました(Notionらしく全部ひとつのDBでドキュメント全部管理するというのは新規ならいいが移行だと難しい)。そのためニフティでは特定階層にあるページを スペースページ
と呼称し、情報を取り扱うひとつの粒度として扱っています。
移行の際にConfluenceのスペースをざっくり Dept
、 Knowledge
、Product
に分類し3つのチームスペース内にスペースページとして移しています。メタ情報的にはもう少し細かく分類しているのですが、チームスペースとしてはこの3種にしています。
会社の組織構造に合わせてチームスペースを切っていないのは、もともとプロダクト・プロジェクト単位で情報を集めていることが多かったのでそれを踏襲しています。
Notionで実現したかったことと情報配置
仕上げにNotionでどう配置しているのかについて。
検索ノイズを減らし ここになかったらないですね を実現したい
情報が貯まっていくと、検索ノイズが多くなり検索結果は返ってくるけど目当てのものがない、そもそもストック情報として存在しているかどうかもわからない、という状況がままあります。
そこで検索ボリュームが大きい、全従業員向け・特定職務向け・特定ツール利用者向け・オンボーディングなどはすべて Knowledgeチームスペース
に集約しました。
ここを検索することで正確性が担保された情報を見つけやすくなる上に、見つからなかったらNotion上にはなくまだストック化されていない情報だと判別することができるようになります。
なにかしら検索結果が返ってきてしまうと、うまく探せてないのではないかと再検索を繰り返してしまうものですが、結果が返ってこないか少数であれば ここにはないのか と思い、早い段階で別のアクションに移ることができます。
俯瞰して全体を眺め 上から辿っていけるようにしたい
行なったことは大きく3点です。
- スペースページDBの作成
- カオスマップの再現
- 索引の作成
スペースページDBの作成
Confluenceにあったスペースディレクトリの代わりとして、スペースページのインデックスDBを用意しました。
ツールカオスマップをNotionで再現
探すべきスペースページが多すぎると選べない場合があるため、カオスマップをNotion上で再現するようにリンクを配置したページを用意しました(ここはいずれDBでうまく再現したい)
索引の作成
主要なDBへリレーションして索引として機能するDBも用意しました。
Confluenceのときは問い合わせ先一覧という大きなテーブルを作っていたのですが、これに索引の機能を付与しました。主要なDBにリレーションするだけで情報が集まってくるため前よりもメンテナンス性が上がったと思います。ここはNotion事例紹介にあった企業様のやり方を一部真似させてもらいました。
参考:入社1ヶ月でNotionを使いやすい形にデザインした話|西山 将平(Shohei Nishiyama)|note
タグとして単語選びと粒度は今後どう運用していくかは課題となっています(一旦Folksonomiesで運用して数を増やし、後でTaxonomyとして整理管理するのがいいか?)
最後に
Confluenceを現在お使いの方もこれからCloud版や他へ移行予定の方も、移行前に掃除をしっかり行っておくと移行数も移行時間も大きく削減されるので是非やりましょう。
情報の整理については、既存の情報を実際に見にいってどういう情報がどういう形で置かれているのか把握するのは重要だと感じました。時間はかかりますが、やる前と後では情報に対する解像度が変わります。知識的なものとしてはオライリーの情報アーキテクチャの本が頭の整理に役立ちました。
参考:O’Reilly Japan – 情報アーキテクチャ 第4版
Notion上での組み方ですが、移行前のページ構造を大きく変えずに一部全社共通DB使っていたりとNotionっぽさも混ぜ込みつつ、ひとまずいい感じには使えているのではないかと思っています。組み方に正解はなく各組織ごとに合った構成を見つけていくしかないので難しい部分ですよね、ここは今後も適宜改善していくつもりです。
本記事で ニフティグループ Advent Calendar 2022 は終わりとなります。
多種多様な記事が揃っていますので、是非上記リンク先から他の記事も訪れてみてください。