はじめまして。ニフティデザインチームの田畑です。Webサイト、スマホアプリから展示会用のパネルまで幅広くデザインをしております。
その幅広いお仕事の中に、コーポレートカレンダーのデザインディレクションというものもありまして、今回はそのカレンダーつくりについてのメモになります。
デジタルメインのデザイナー・ディレクターだけど、なんかうっかりカレンダー作る担当になっちゃった!という方の参考になれば幸いです。
目次
- はじめに
- スケジュール
- デザインについて
- 仕様
- 印刷会社さん
- デザインする
- 最後に
はじめに
ニフティでは毎年、お取引先 / 協業企業さま / お客さまに、ノベルティとして配布するため、カレンダーを制作しています。壁掛けと卓上の二種類。
このデジタルな時代に、アナログなカレンダー?という感じですが、そんな時代だからこそ、機器を用意して電源を入れる事なく、生活空間に、常に「ニフティの雰囲気があるもの」を置いてもらう事を重要視し、作成しています。
スケジュール
多くの企業が11月~12月にカレンダー配布をしていますので、それにのっとり、11月頭に配布開始できるようスケジュールを組みますが、出来るだけ早く完成するよう目指します。先にいいものを配布すれば、使ってもらえる可能性が高まります。
また、早めに入稿する事によって、カレンダー印刷の繁忙期をズラす事ができ、コスト削減に少しだけ期待が持てる事も。
ニフティカレンダーは、だいたい5月くらいから企画を始めて、7月から実際のデザインをスタートさせていますが、もっと早い時期から企画スタートする企業も多いとか。
デザインについて
上は、2017年版ニフティカレンダー(壁掛け)のデザインです。美味しそうな色をしたオブジェクトで各月が彩られています。
デザインは、コーポレートメッセージ「ニフティとなら、きっとかなう。 With Us, You Can.」に加えて、年ごとのコンセプトを、いかにカレンダーとしてのUI/グラフィックに落とし込むかを、毎年頭をひねりながら行っています。
特にグラフィック表現には毎年こだわっていますので、インハウスでしっかりじっくりデザインしています。
2017年カレンダーのデザインコンセプト
コンセプトは「お客様とニフティで、新たな場を創造する」です。
壁掛けカレンダーでは、見開きごとに様々な形状のオブジェクトをデザインしていますが、それぞれで「お客さま」と「ニフティ」を表現。そして、その二つのオブジェクトが重なる事によって生み出される新しい形が「新たな場の創造」を表現しています。 デザイナー:三枝亮
ツールとしての性格が強くなる卓上カレンダーは、グラフィック面は控えめにしつつも、壁掛けカレンダーで使用したオブジェクトの配置やフォント・文字組みなどを共通させることによって、統一感を出しています。
仕様
おおよそ次の三つのポイントを考慮して仕様を考えます。
ノベルティとしてのつかいやすさ、完成度
「ニフティのカレンダー」という事で、胸をはって配れる事が第一条件です。
デザインは当然のこと、配布時、自信をもってお渡しできるか(リッチに、美しく見えているか)、また、数をかかえて取引先へ配布に向かう担当者への配慮(重さとか)、郵送しやすさ(サイズとコスト)など、様々な事に気を向けます。
例えば、壁掛けカレンダーは、A3見開きの仕様にしています。
これにより、会社指定のA4サイズ封筒にすっぽりと収める事ができるため、持ち運びやすさ、発送のしやすさを向上させることが出来ます。
さらに、カレンダーを手渡す時に話の取っ掛かりにしてもらうために、カレンダー全体のデザインコンセプトを簡潔 / 明瞭に伝えられるようにしています。
カレンダーとして使いやすいか、身近に置けるか。
例えば卓上カレンダーでは、設置しやすさ(大きさ、形)、玉(日付などの数字のこと)の見やすさと美しさを考慮したデザイン、スケジュールなどを書き込む場合の使いやすさを考慮したレイアウト、1年間きれいに使ってもらうための耐久性、などなど、全体の完成度で、「身近に置いて使いたい!」と思ってもらえるカレンダーを目指します。
しかしながら、書き込みやすさ/見やすさ、と設置しやすさ(あと配りやすさなど)は、大きければ見やすくて書き込みできるけど、置く場所に困る・・・。
といったように両立が難しいポイントなので、どちらも立てようとはせず、コンセプトにもとづいて「なぜこの仕様なのか」を説明できることが重要です。
2016年と2017年のニフティ卓上カレンダーでは、
オフィスで身近に置いてもらい、ふとした時にすぐ日付を確認できるカレンダーを目指しました。
そのため、大きさはPCのディスプレイの下あたりにすっぽり収まるサイズに、また、スケジュール管理はスマホ/PCを利用する人が多いだろうとも考え、書き込みスペースは設けず、その分数字を大きめに配置することにより、日付の視認性を高めました。(一応、裏面に簡単なスケジュール欄付カレンダーがあります)
コスト
抑えるところ、かけるところを見極めて、より良いものを作ります。
2016年、2017年のカレンダーは、特殊な印刷(箔押しなど)を施しながらも、製造しやすい仕様にすることでコストを抑え、よりリッチなカレンダーに見えるように(涙ぐましい)工夫をしました。
印刷会社さん
紙に印刷して作るものなので、当然印刷会社さんにお願いする事になります。気にするのは紙、インキ、特殊な印刷 / 加工、あとは納期、納品時の融通などなど。
その中でもインキは一番気にしたいところですが、2017年のニフティカレンダーは、廣済堂さんにお願いをしました。
決め手としては、CMYKの表現力をはるかに超えた色を見せてくれる「ブリリアントパレット」というインキを使えるところ。
暖色や寒色の中間色の表現が特色に見えてしまうぐらい美しく、かつ、幅広い階調の表現で特にオレンジや青緑、紫がすごい!もともとはアニメCGイラストで良く使用される、中間色やグラデーションを美しく印刷するために開発されたそうです。オススメ!(ステマっぽい)
デザインする
入稿日から逆算して制作スケジュール
11月頭納品の場合、9月の中ごろ~10月中ごろの入稿になります。
そこから逆算して、デザインスケジュールを設定しますが、7月スタートになる事が多い。他案件とも並行したりしつつ、3ヶ月ほどの制作期間。
玉(日付などの数字部分の事)
デザインの統一感と制作の効率化のため、基本的に玉は卓上と壁掛けで流用できるようにデザインします。
その玉のデザインですが、「良く出来たカレンダー」は例えば縦に日付の数字を並べているだけに見えていても、それはセンタリング一発、ではまったくきれいには見えません。こまかい位置の微調整を加えて何度も確認し、美しい見栄えをデザインします。
グラフィック
玉部分と並行して、グラフィックのデザインにも着手します。
ラフ案を元に、玉や、その他の印刷上の要素を気にしつつ、デザインしていきます。
ここからあとは、どんなカレンダーをお客さまに届けたいかを思い描きつつ、どれだけ納得行くものがデザインできるか、根気の勝負です。
そして入稿
デザインが仕上がったら、入稿~色校、校了して納品、配布という流れで進行します。いやー、ついに完成です。企画開始~配布開始までだいた7ヶ月と、長い仕事になります。
最後に
カレンダーのデザインは、年に一度のチャレンジで、毎年の勝負。一度印刷されたら、やり直しも出来ませんので、一つ一つに集中力を高めて取りかからなければいけません。この緊張感は、他のデジタル案件をデザインする時にも活きてくる経験だと思います。
みなさんも是非、カレンダー作ってみてください!楽しいですよ!
※執筆者の所属 / 身分は記事公開時のものです。